Black Coffee (ジャズスタンダード) とマスタークラス
Brigette Berahaのマスタークラスにまた行ってきました。
今回はBlack Coffeeを歌って、コメントをいただきました。
まずはこの歌の説明から。WebberとBurkeの1948年の歌です。英語は最初のAセクションだけ書きます。
I'm feeling mighty lonsome
Haven't slept a wink
I walked floor and watch the door
And in between I drink black coffee
Love's a hand me down broom
I'll never know a Sunday in this weekday room
次に私の稚拙な日本語訳を書きます。詩的でなくてすみません。でも大体の意味がわかるでしょう?
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すごくさみしい。昨夜は一睡もしなかった。
行ったり来たりしながら、なんども入口に目をやった。
そして、その合間にBlack Coffeeを飲んだ。
恋って、おさがりの箒(broom)のようなもの。(つまり、役に立たない)
週日しかないようなこの部屋(room)だから、日曜日はない。
一時から四時まで、影と話してる。
Black Coffeeばかりのんでると、時間がたつのがおそい。
ブルースに出会ってから、月曜日には、日曜日の悲しい思い出をかわかすように干している。
男って愛し続けるように生まれてる。
女は泣いて苛立つように生まれて、家でオーブンで料理をするだけだ。
そして、コーヒーとたばこで、後悔をまぎらわす。
朝中、愚痴を言って、夜中かなしむ。(moaningとmorning とmourning)
その間に、ニコチン。そしてBlack Coffeeを飲まずにはいられない。
すごく気が滅入る。来ないかもしれない彼を待ち続けるのは、気が狂いそう!
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なんともはや、せつない気が滅入る内容で、ロンドンの女性ジャズシンガーで、こんな女が被害者になってるような歌は歌いたくないと言ってる人も少なくないです。
これは、1948年の頃のことだから、当時は女性はもっと弱かったのですよね。え?日本では今もそう?まさか!でも、古い世代はそうかもね…
私がこれを気に入ってるのは、他のジャズスタンダードとは、ちょっと違って、A セクションが12小節のブルースであることと、内容が劇的で演技もいれて歌でお話を語れるということかな。ちなみに、ブルースは歌ったことがありません。
私は、Aセクションの前半"I drink"までを話すように短く、"black coffee"から音を長くして対照的にします。これは、私のトリオのMKのアイディア。(彼はシンガーソングライターなので、歌い方にかなり細かいところまで、要求します。)
ふつうは、Cのキーで歌われてるけど、わたしは敢えてBフラットにしました。理由は、もっと暗い感じにしたいのと、年を取ってくると、低い方がもっと楽になるので。でも、トリオではギターの関係でC、バンドではBフラットと両方してます。
この歌の最後は、歌が終わった後も伴奏が長く続き、スキャットをしたり、ハミングをしたり、Black Coffeeと繰り返したりして終わりますが、わたしは、伴奏を背景にこう言います。もちろん英語で。
「彼は来ないのよね。私って時間を無駄にしてるのよね。
ああ、強さが欲しい。タバコが欲しい。そして、もっとBlack Coffeeが欲しい!」
やっぱり今回も上がってしまい、長音、高音が出なかった。音が外れてた所もいっぱいあった。録音を聞くのも恥ずかしいくらい。バンドやトリオとのライブの時はあがらないのに、上手なシンガー達の前で歌うからだと思う。
はい、ここで、Brigetteのコメントです。
「こういう歌い方は聞いたことがない。オリジナルで、すばらしい!(ほんとう?)
お話がよく伝わってる。100%歌ってることが信じられる。この歌をおもしろくしている。他にこういう歌い方をしている人がいるのだろうか?(いいえ、わたしは誰の真似もしていません!)話してるのと歌っているのがうまく組み合わさっている。」
「"love's a hand me down broom"の所は必ずしも、書いてあるメロディーの通りに歌わなくてもいいが、オリジナルのメロディーがわかっているというのを示すために一回ぐらいは、オリジナル通りに歌った方がよい。」
わたしは、この部分はブルースなので、ブルーススケールを使ったが、オリジナルはミキソリディアンだそうだ。(よくわかりません)オリジナルのメロディーを一緒に確認して練習。
「"Black coffee"と"Love's a hand me down broom"の前には大きく息を吸うこと。」
「最後の"Crazy"の所は、のどが締め付けられてるようなので、もっと喉を開けてうたうように。」
その練習を一緒にした。
唇をブルブルふるわせる練習をしてから、声をだしたら、できました!
それから、他の人の歌とコメントを聞いていると、とても勉強になります。
どんな歌をどのように歌っているのか。
どんな点に注意したらいいのか。
知らなかったこともあるし、知っていたことも再確認できるし。
最後にBrigitteが、"Solitude"を歌ってくれました。
その素晴らしいこと、言葉で表すのは難しい。
音が正確なのはもちろんのこと、声がジャズっぽくやさしくきれいで、感情がこもっていて、彼女の歌の世界にひきこまれました。
じゃ、今日は、これまで。
次回はライブの報告になるかな。
またね。